キャッシュレス、経済下支え=ロシア侵攻下でも普及―ウクライナ
【キーウ時事】ウクライナでキャッシュレス化が進んでいる。小さな商店でも多くでクレジットカードが使え、スマートフォンでの非接触決済も普及。ロシアの侵攻下で証明された決済システムの強さはキャッシュレス化をさらに後押しし、戦時経済を下支えしている。
首都キーウでは、青果や精肉を扱う小さな個人商店の多くがクレジットカードの決済端末を備え、現金がなくても買い物が可能だ。土産物店の女性店員は「端末利用手数料はほとんどない」と話し、現金を扱うより手間がかからないと説明する。
ウクライナ中央銀行によると、2023年のクレジットカードなどを使ったキャッシュレス決済総額はカード取引全体の65%と、ロシア侵攻前の21年の61%から拡大した。正確な比較は難しいが、経済産業省の調査では日本は39.3%にとどまり、「現金主義」の傾向が強い。
中銀は、店舗が負担するカード決済端末の利用手数料を引き下げる政策に取り組むなど、キャッシュレス化を後押ししてきた。現金を扱うコストが減らせるほか、決済の透明性を高め、汚職につながる脱税を防ぐ狙いもある。
22年2月のロシア侵攻直後、ウクライナ経済は混乱し、高額紙幣の流通が増える傾向にある。ただ中銀は、既に普及していたキャッシュレス決済について「安定したサービスを提供し、国民の信頼を維持できることを実証した」と強調する。
ウクライナでは、ロシア軍の相次ぐ発電所攻撃で電力不足が深刻化し、中銀は4月に24年の経済成長率見通しを3.6%から3.0%へと大幅に下方修正した。こうした中、個人消費の勢いを維持し、経済を持ちこたえさせる上で、キャッシュレスを支える決済システムの重要性がますます高まっている。
[時事通信社]
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