大票田開拓へ「空中戦」懸命=組織持たぬ3候補ら―都知事選
7月7日投開票の東京都知事選では過去最多の56候補がそれぞれの流儀で支持を訴える。小池百合子知事と蓮舫前参院議員の対決が注目を集める中、強固な支援組織を持たない前広島県安芸高田市長の石丸伸二(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄(75)、タレントの清水国明(73)各氏らは大票田を掘り起こそうと「空中戦」に懸命だ。
「政党にくみしない人間が首都のトップになれば、政治に激震が走る」。石丸氏は25日夕、家路を急ぐサラリーマンが行き交う京橋のオフィス街で、投票所へ足を運ぶよう呼び掛けた。
石丸氏は選挙への関心が比較的低い無党派層を取り込むのが基本戦略。陣営幹部は大政党を後ろ盾とする小池、蓮舫両氏の訴えは若者らには響かないと分析し、「投票率がアップすればそのままうちに上積みされるはずだ」と皮算用する。
武器は若さゆえの体力。連日、10カ所近くでマイクを握る。得意のSNSもフル活用し、週に数回のペースで行うライブ配信では、ざっくばらんな語り口で「等身大」のアピールに余念がない。
一方、田母神氏が照準を定めるのは保守層だ。街頭演説では歴史教育、国防、外国人政策など保守層の関心が高いテーマを取り上げ、「石原慎太郎元知事のような強い知事になる」と力説する。
支持の幅を広げるため、選挙戦中盤から始めたのが若年層への訴えだ。25日には新宿・歌舞伎町でキャバクラで働く女性らをターゲットに演説。「意外に普通の人ですね」との反応に手応えを感じ、後半戦では一層力を入れる計画だ。
27日の浅草での演説は「75歳で大丈夫かと心配する人がいるが、トランプ前米大統領よりまだまだ若い。バイデン大統領よりはるかに若い」と笑いを誘い、「親しみやすさ」を前面に押し出した。
往年の人気歌手である清水氏は初めての選挙戦。暗中模索の中、26日には対立候補である人工知能(AI)技術者の安野貴博氏と柴又の商店街で合同演説会を開催した。異例の対応だったが、「討論会に招かれた主要候補4人が互いにつぶし合う中、招かれなかった2人は政策を高め合っている」(陣営関係者)とのメッセージを込めた。
清水氏の「一丁目一番地」は災害対策。阪神淡路大震災以降、ボランティアに長年関わった経験から「誰も取り残さない災害救助の体制を取る」と力説する。ターミナル駅よりも小さな駅や商店街を回り、地道に支持拡大を図っている。
[時事通信社]
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