英王室との絆、再確認=地球規模の課題見据え―両陛下訪英
天皇、皇后両陛下は29日、国賓として臨んだ英国訪問を終え、帰国された。共に代替わりした皇室と英王室の「深い絆」を再確認するとともに、400年以上にわたる日英関係を礎に、地球規模の課題を見据え、親善を深めた。
◇英国は「掛け替えのない友人」
「日英両国が掛け替えのない友人として、永続的な友好親善と協力関係を築いていくことを心から願っています」。25日夜、バッキンガム宮殿で開かれたチャールズ国王夫妻主催の晩さん会で、天皇陛下は英語であいさつした。
「友好関係が損なわれた悲しむべき時期がありました」と戦争の惨禍に触れる一方、現代社会が地球規模の諸課題に直面し、世界全体で英知を結集して解決する必要性を強調。両国友好関係の次世代への着実な継承を願った。
「英国にお帰りなさい」。国王は日本語を交えたスピーチで両陛下を迎えた。両国が「暗い時代」の教訓から生まれた「深い友情」で結ばれていると強調。自身の訪日時の思い出を述べ、「ハローキティ」や「ポケットモンスター」にも触れて笑いを誘った。
晩さん会では、国王から天皇陛下に対し、宇宙ごみを含む環境問題に関する話があり、皇后さまにカミラ王妃は、自身が取り組む女性や子ども支援について述べたという。同行した宮内庁幹部は「緊密な関係を2国間だけにとどめるのではなく、日英が協力して世界の諸課題に貢献していくという方向性は共通している」と話す。
◇「思い出の地」に8時間
この日、両陛下は国王夫妻と同宮殿まで馬車でパレード。26年前の上皇ご夫妻の訪英時のように、馬車列に背を向けて抗議する元英軍捕虜たちの姿は見られなかった。国王主催の昼食会後、天皇陛下に英国最高位のガーター勲章が贈られた。天皇への授与は明治以降5代連続となった。
天皇陛下は27日、ウィンザー城を訪れ、聖ジョージ礼拝堂にあるエリザベス女王と夫のフィリップ殿下の墓に供花。礼拝堂に飾られた明治以降4代の天皇のプレートや天皇旗を見学した。
旅のハイライトは、28日のオックスフォード大訪問。20代に留学生活を送った「思い出の地」に両陛下は約8時間滞在し、当時滞在した寮などを訪れ、恩師らと再会を果たした。
天皇陛下は同大総長らとの昼食会で「荘厳な街並みを眺めるにつれ、私がオックスフォードで過ごした日々が鮮やかによみがえってきました」と心情を吐露。「日本の若者たちが海外へ留学して、私たちと同様の素晴らしい経験を得られることを希望します」と語った。
両陛下は同大構内を笑顔で散策し、学生らとも交流。英留学を「現在の公務に取り組む姿勢にも大きな影響を与えている」(即位後初の記者会見)と述べていた天皇陛下にとって、原点回帰の旅でもあった。
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