奥能登の観光再開、道半ば=宿泊「復興関係者に限定」―独自取り組みも
能登半島地震で被害が甚大だった奥能登地域では公費解体が進んでおらず、観光客を受け入れるにはまだ時間がかかる見通しだ。石川県輪島市では営業再開した宿泊施設もあるが、利用客を復興関係者らに限定。「観光業の再興には数年かかる」との声も上がる。一方、再開に向けて独自の取り組みも始まっている。
輪島市観光協会によると、市内の旅館などは5月までに15施設が営業を再開したが、いずれも復興関係者やボランティアらを優先。「ほとんどの施設で観光客は原則受け入れていない」(担当者)という。
旅館の一つ「ねぶた温泉海游能登の庄」では、地震により建物全体がやや傾き、配管の損傷で自慢の大浴場が使用不能に。現在はボランティアや復興関係者らに限定して営業している。大向洋紀社長(68)は「建物を直すための休館も必要だ。観光客受け入れは3~4年先になるだろう」と嘆く。
半島先端部に位置する珠洲市折戸町の木ノ浦海岸では6月下旬、県内外から集まった漁師やダイバーら約10人が海岸周辺の調査を行った。以前は海辺でさまざまな水遊びが楽しめたが、地震による隆起で地形が変化した。そこで、参加者はカヌーに乗って海流を確認したり、隆起で広くなった海岸線を歩いて確認したりした。
その結果、水深が浅くなってカヌーで遊べない区域があると判明。こうした情報は今後、同海岸での遊び方の再検討に役立てるという。
調査のため、初めて木ノ浦海岸を訪れたという富山県高岡市の荒田恭兵さん(28)は「被災地の復興に貢献したかったので、自分の持つ技術を生かすことができた」と感慨深げだった。
調査を呼び掛けた地元の医薬品製造販売会社社長、岩城慶太郎さん(46)は「いまの被災地に入るには目的が必要だ。こうした『力を貸して』と現地から求める仕掛けをつくることで、集落に来てくれるよう誘客を図っていきたい」と話した。
[時事通信社]
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