光熱費、補助金で大きなぶれ=やめれば家計圧迫、長期化の声も
政府は28日、5月使用分でいったん終了した電気・ガス代に対する補助金の再開を発表した。世界的なエネルギー価格高騰に対する一時的な家計負担軽減策として始まった補助金だが、長引く円安で物価上昇が続く中、「やめ時」を見失いつつある。政府は冷房需要をにらんだ8~10月限定と説明するが、打ち切れば再び家計が圧迫されるだけに長期化を指摘する声もあり、補助金次第で光熱費が大きくぶれる状況が続きそうだ。
補助金は、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などがロシアのウクライナ侵攻後に上昇し高止まりしたことを受け、2023年1月から支給が始まった。同年9月で終了する予定だったが、物価高対策のため延長が決まった。燃料価格の高騰が一服したとして今年5月に打ち切られたため、東京電力など電力大手10社の電気料金は6月にかけて上昇した。
7月は燃料価格の下落で7社が値下がりする。8月以降は補助金再開で負担が一気に抑制され、光熱費を決定付ける燃料価格の動きとの乖離(かいり)が拡大。通常時の光熱費負担の姿が見えなくなっている。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「賃金の上昇や円安是正の目算がない中、(補助金という)カンフル剤への依存から抜け出せなくなっている」と指摘。冷房需要が一段落しても、冬になれば暖房需要が高まるため、「11月以降も(補助金が)続く可能性がある」と話した。
政府はこれまでに電気・ガスの補助で3.7兆円を支出し、ガソリンへの補助金と合わせて計10兆円超を投じている。補助が長期化すれば、財政面の負担は一段と増すことになる。家計にとっては負担の軽減となるが、いつ光熱費が増えるのか不安を抱えながらのやり繰りとなりそうだ。
[時事通信社]
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