父の母国へ、異例の挑戦=「二刀流ハードラー」豊田兼―陸上・パリの灯は近く
陸上の男子110メートル障害と400メートル障害は、求められる適性が大きく異なる。豊田兼(慶大)は両種目で日本トップレベルの実力を持つ「二刀流ハードラー」。27~30日の日本選手権で、異例の2種目でのパリ五輪代表入りを目指す。
東京都出身の21歳で、父はフランス出身。195センチの長身は、ハードルを越える際の大きな武器になる。昨年大きく飛躍を遂げ、8月の世界ユニバーシティー夏季大会の110メートル障害で優勝。10月には400メートル障害でパリ五輪の参加標準記録(48秒70)を突破した。
ハードル2種目で五輪を目指す選手は世界的にも珍しいが、「1種目をやり続けて行き詰まることが多く、別の種目をやると気分転換になったり、共通の動きがプラスの方向に動いたりした。2種目を両立するスタイルは変えたくない」ときっぱり。父の母国で行われるパリ五輪に照準を合わせ、オフは地道に走力強化に取り組んできた。
今季は400メートル障害を中心に出場。5月のセイコー・ゴールデングランプリ東京は日本歴代5位の48秒36をマークして制した。前半は抑えめに入り、「まさか自己ベストまで出るとは思わなかった」。日本選手権で3位以内に入れば、五輪代表入りを確実にする。
110メートル障害は昨夏の世界選手権5位入賞の泉谷駿介(住友電工)が代表に決まり、残り2枠の激戦。豊田の自己記録は13秒29で、五輪参加標準記録まであと0秒02。切符獲得に向け、日本選手権は好タイムと2位以内が目標となる。
日本選手権は前半2日間で400メートル障害、後半に110メートル障害が行われる日程。「五輪の舞台で躍動できるように挑戦したい」と意気込む。
[時事通信社]
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