オウム後継、今なお「麻原」信奉=施設に肖像、4割超が20~30代―松本サリン事件30年・公安当局
社会を震撼(しんかん)させたオウム真理教による松本サリン事件から30年。後継3団体の信者計約1650人のうち、大半が所属する「Aleph(アレフ)」は今なお、教団元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚=2018年執行=の教えを絶対として信奉する。公安当局は依然として大量殺人などの脅威があるとみて、目を光らせている。
オウム真理教時代から調査に当たっているという公安調査庁の担当者は、アレフについて「基本は何も変わっていない」と分析する。施設への立ち入り検査で、元死刑囚の肖像写真が飾られた祭壇や、元死刑囚の脳波データを注入するとされるヘッドギア、説法映像が今も確認されるためだ。
アレフの信者は約45%が20~30代。団体名を隠したヨガ教室や心理学セミナーなどをきっかけに勧誘し、若者の獲得に成功しているとみられる。同庁の担当者は「人間関係を構築しながら『事件は陰謀によるもの』などと説明し、洗脳できたところで団体名を明かして入信させている」と解説。「事件を知りながらも若者は入信している。『麻原帰依』が強くなっているのではないか」と危機感を募らせる。
団体規制法で義務付けられた活動報告では、同庁の指導に従わず、資産を一部隠したままとみられる報告を続けている。
公安審査委員会は23年3月、再発防止処分を出し、施設使用を禁止した。これによりアレフは集団での修行ができなくなり、弱体化の兆しもあるが、同庁担当者は「このまま活動がなくなるとは思えない。地下に潜っていかないか」と警戒する。
公安調査庁によると、後継3団体は今も15都府県に計30カ所の拠点施設を構え、信者数は二十年以上ほぼ横ばいが続く。同庁は、アレフ以外の「ひかりの輪」(上祐史浩代表)と「山田らの集団」も元死刑囚の影響下にあるとみて、動向を注視している。
[時事通信社]
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