将棋の藤井、初の失冠=同い年伊藤七段に敗れる―叡王戦
将棋の藤井聡太叡王(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=に伊藤匠七段(21)が挑戦する第9期叡王戦5番勝負の最終局が20日、甲府市で指され、後手の伊藤七段が156手で勝ち、3勝2敗でタイトルを奪取した。伊藤七段は初戴冠。昨年10月、史上初の八冠制覇を果たした藤井は、23回目のタイトル戦で初の失冠となり、七冠に陥落した。
藤井七冠は、2020年に史上最年少の17歳11カ月で初タイトルの棋聖を獲得。空前のスピードでタイトルを増やし、初戴冠から3年余で八冠独占を成し遂げた。
その後も竜王、王将、棋王を無敗で防衛。先月には名人初防衛も決め、タイトル戦連覇記録を22に伸ばしたばかりだったが、八冠在位は約8カ月で途切れた。
1996年2月に当時の「七冠」を制覇した羽生善治九段(53)は同年7月に棋聖を失い、六冠となった。
東京都出身の伊藤・新叡王は、同い年の藤井七冠より4年遅れの20年にプロデビュー。着実に力を付け、昨年度の竜王戦、棋王戦の挑戦者となった。いずれもストレート負けを喫したが、3回目の挑戦で栄冠をつかんだ。
この最終局は、「角換わり」という互いの得意戦法で正面から激突。中盤、藤井七冠が妙手を繰り出したが、伊藤叡王はこらえて反撃し、共に1分将棋に突入する激しい終盤戦を押し切った。
伊藤叡王は終局後、藤井七冠と戦った全5局について「全体的に苦しい将棋が多かったので、運が良かった。一つ結果を出せて良かった」と振り返った。勝因については「苦しい将棋が多かったので分からない」と、「苦しい」を繰り返した。
敗れた藤井七冠は「終盤でミスが出る将棋が多く、結果はやむを得ない」と総括。初の失冠は「時間の問題だと思っていたので、あまり気にせずにこれからも頑張っていきたい。まずは実力を付けることが一番大事」と笑顔も交えて語った。
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