原発安全確保、子供の解放要求=主要新興国は声明署名見送り―ウクライナ平和サミット閉幕・スイス
【ビュルゲンシュトック(スイス)時事】ウクライナの和平案を討議するためスイス中部ビュルゲンシュトックで開かれた「平和サミット」は16日、2日間の日程を終え閉幕した。会議後に発表された共同声明は、ロシア軍が占拠する原発のウクライナによる管理、ロシアに拉致された子供らの解放、食料安全保障の確保を明記。焦点だったロシアが参加する協議の実現に向け、今後も関係国と検討を続ける方針で一致した。
会議には約100の国・機関が参加。共同声明をまとめたことで、ロシアによるウクライナ侵攻の停止につながる一歩を踏み出した。ただ、ロシアは招待されず、中国も欠席。インドや南アフリカなど主要新興国が署名を拒んだため、共同声明を支持したのは83カ国・機関にとどまり、ロシア非難を強める西側諸国との溝も鮮明になった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は閉幕後の記者会見で、和平実現に向けた「非常に強力な一歩だ」と会議を評価。次回会議の開催を目指し関係国と「行動計画」を策定すると明らかにした。
ウクライナは2022年、領土回復や戦争犯罪の責任追及を含む10項目で構成する和平案を提示。会議では、国際社会の結束を示しロシアに圧力をかけることを狙い、同国に近い国からも支持を得るため、原発の安全など3項目に議題を絞った。共同声明は、これに沿ってロシアに要求を突き付けた形だ。
共同声明は、ロシアの核兵器使用の威嚇は容認できないと表明。ロシア軍が占領する南部ザポロジエ原発を含め「ウクライナの原発施設は同国の完全な主権的管理の下」に置くべきだと指摘した。
また、ロシアが占領地域から連れ去った多くの子供やウクライナ軍捕虜の解放を要求。ロシア軍の黒海封鎖でウクライナ産農産品の輸出が滞り、世界的な食料価格の高騰を招いたことを踏まえ、「食料安保を武器として使ってはならない」と強調した。
[時事通信社]
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