財政黒字化、従来目標を維持=迫る期限、新方針示せず―骨太原案
政府が11日に示した「骨太の方針」原案では、国と地方の基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字化する従来の財政健全化目標を3年ぶりに明示する一方、デフレ完全脱却に向けて経済再生の重要性も強調した。自民党内の対立する意見に配慮した形だが、目標年限が1年後に迫る中でも新たな方針を示さないなど、踏み込み不足の感は否めない。
原案は「25年度のPB黒字化を目指す」と明記。25~30年度の「経済・財政新生計画」の期間中も黒字化に取り組み、「後戻りさせることなく、債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みをさらに前進させる」と盛り込んだ。
PBは政策に使う経費を国債を発行せずに税収などで賄えるかどうかを示す指標で、バブル経済崩壊後は赤字が続く。原案では、財政や社会保障の持続可能性確保へ「PBの黒字基調を維持」することの重要性に言及。日銀の金融政策修正で「金利のある世界への移行による利払い費増加の懸念」が生じていることにも触れ、主要国で最悪とされる日本の財政への市場の信認を確保する必要性を訴えている。
だが、わずか1年で財政を健全化させ、PB黒字化を達成するのは容易ではない。内閣府は1月、歳出改革を進めれば25年度の黒字化が視野に入るとの試算を公表したが、これはあくまで高い経済成長率の実現が大前提だ。
新たな方針を示せなかった点には、自民党の派閥裏金問題を受けて財政再建派と積極財政派の議論が深まらなかったことも影響した。原案は財政再建の重要性を強調する一方、「経済あっての財政」とも指摘。健全化目標で「マクロ経済政策の選択肢がゆがめられてはならない」と指摘するなど積極財政派にも一定の配慮を示した。
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