パリ五輪、運営でAI活用=開会式の警備、電車案内―スポーツとAI(下)
五輪の舞台となるパリ市内でも人工知能(AI)は効果的に利用されそうだ。
大会の最大の目玉は7月26日にセーヌ川で行われる開会式。当日は約32万人の観客が見込まれ、警備も広大な範囲に及ぶため、テロの危険性など安全面が不安視されている。
そこで用いられるのがAIによる映像分析。監視カメラからの情報であらゆることを把握できる。大群衆の中でも一人一人を正確に識別し、動きだけでなく、持ち物の形までも詳細に認識する。物が動いたなどの変化、火事などの異変も察知可能で、倉庫の荷物管理に使われている技術を生かす。
分析映像は警備に当たる警察などに即時に共有される。企業担当者によると、昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)でも効果があった。五輪開会式では警察や軍隊など約4万5000人が警備に当たるが、AIを導入することでより効果的に安全を確保できそうだ。フランスのダルマナン内相は「(警備の)準備は整っている」と不安なしを強調する。
パリ五輪では交通面の不安もある。ラグビーW杯の際、海外からの観光客が切符の買い方が分からず自動販売機の前に長蛇の列ができ、駅が大混雑した。地下鉄構内も複雑に入り組んでおり、地元市民でも乗り換えに戸惑うことがある。
この問題解決にもAIが一役を買う。仏国鉄はAIで生成される音声が流れる案内板を設置。英語と仏語に対応しており、利用者は競技会場への行き方などを知ることができる。130カ国語に対応できる同時通訳アプリも開発され、駅の案内係が使用する。
地下鉄やバスを運営するパリ交通公団も16カ国語対応の翻訳アプリを用いる。仏国鉄は「アプリも五輪の遺産になる」。パリの街中の至る所でAIが活躍しそうだ。 (パリ時事)
[時事通信社]
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