スポーツに広がるAI=競技の現場、パリ五輪警備に―スポーツとAI(上)
自動車の自動運転、掃除ロボット、チャットGPT―。人工知能(AI)が人々の生活で身近なものになってきた。AIを含めた情報技術(IT)は五輪を含めたスポーツ界にも浸透する。
AIは幅広く活用され始めている。サッカーではオフサイド判定の補助に使われ、体操では技などを判別することで審判の採点を支援。選手のプレーにも生かされる。卓球では対戦相手を分析するための映像を抽出する技術が用いられ、トランポリン競技では演技向上に一役買う。
パリでは人流が増す五輪期間中の警備を見越し、AIによる映像分析を用いて防犯カメラの情報から不審者などを探知できるようにする。さまざまな観点からスポーツ、五輪とAIをひもといてみる。
◇映像技術、AIで進化=日本企業も関与
微妙な判定をプレーの直後に映像で振り返り、観客や視聴者は固唾をのんで見守る―。今やこうした場面はさまざまな競技で目にする。サッカーの2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会では、日本代表の三笘薫(ブライトン)がゴール左のラインぎりぎりから折り返してスペイン戦の決勝点につなげた場面がVAR検証の末に認められ、「三笘の1ミリ」として話題になった。
映像技術の進化に拍車をかけているのが、人工知能(AI)の発達だ。W杯カタール大会ではVARのオフサイド判定をAIが補助する技術が初めて導入され、審判が肉眼で判別しづらい微妙な場面でも迅速に判定できるようになった。
日本企業が深く関わるケースもある。富士通は国際体操連盟(FIG)と協力し、AIにより審判の採点を支援するシステムを開発。選手の動きを映像で分析し、技や関節の角度が容易に判別できるようになった。試験導入を経て、昨年の世界選手権からは男女の全種目に対応。審判にも好評で、大会後に自分たちの判定を検証する手段としても用いられているという。
富士通で開発責任者を務める藤原英則氏は「テレビ放送に役立てることもできる。現場のドラマや戦略をもっと伝えていければ、体操はもっと面白くなる」と熱く語る。
技術はさらに改良され、この夏からは選手が日頃の練習で使えるようになる見通しだ。FIGは「小さな国や島国でもAIによる世界レベルの指導が受けられるようになる。最大の目標は格差の解消だ」としている。
国際オリンピック委員会(IOC)は4月に「五輪AIアジェンダ」を発表し、新たな戦略の一つに位置づけた。「五輪の価値を守りながら変化を受け入れ、未来への道筋をつけたい」とバッハ会長。AIの存在感はますます高まっている。
[時事通信社]
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