ウクライナ西部、IT集積地に=技術者、避難で急増―動員年齢引き下げに懸念
【リビウ(ウクライナ西部)時事】ロシアが侵攻したウクライナは世界有数のIT産業を抱える。業界団体「リビウITクラスター」のステパン・ベセロフスキー最高経営責任者(CEO)は3日までに時事通信のインタビューに応じ、西部リビウは、戦闘が激化した東部からの避難者を中心にIT人材が前年から4割超増え、IT産業集積地として重要性が高まっていると強調した。一方で、動員対象年齢の引き下げが業界に及ぼす影響に懸念を示した。
旧ソ連の一部だったウクライナでは、科学技術に力を入れていたソ連の崩壊後にソフトウエア開発などIT産業が発展した。対話アプリ「ワッツアップ」、英文校正ツール「グラマリー」の開発者はウクライナ人やウクライナ出身者だ。
ベセロフスキー氏は「国内IT産業では30万7000人が働いているが、リビウITクラスターに加盟する300社は10万人を雇用している」と説明。ロシア軍の攻撃が比較的少ないリビウがIT人材の受け入れ地になっていると話した。リビウ市は神戸市とIT産業の振興策で連携している。
また「戦争後はIT産業が経済復興をけん引する」と強調。「より多くの日本企業がウクライナ企業と連携することを期待している」と呼び掛けた。さらに、IT人材育成を目的に、産官学が連携する研究施設をつくる計画を説明。リビウでサイバーセキュリティーや通信ネットワーク技術などを学ぶ学生が、大学の枠を超えてIT知識を深められるようにする狙いだと語った。
一方、ウクライナでは動員可能年齢が27歳から25歳に引き下げられた。ベセロフスキー氏は「業界では5%の従業員が動員される見込みで不安だ」と打ち明けた。IT人材が国外に大量流出する事態も「非常に恐れている」と述べ、戦闘の長期化を憂慮した。
[時事通信社]
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