自動運転、「地域の足」へ課題も=人口減少下での活躍に期待―「レベル4」運行1年・福井
特定の条件下で無人の自動運転を可能とする「レベル4」の移動サービスが国内で初めて福井県永平寺町で始まってから1年が経過した。人口減少が進む中、新たな「地域の足」として注目されるが、技術や採算性の面で課題も浮かび上がった。
昨年5月28日、同町の遊歩道約2キロの区間で、7人乗り車両を使った自動運転が始まった。運行は土日祝日のみ。最大時速は12キロで、同区間を約10分で走行する。
レベル4での公道走行は、昨年4月施行の改正道交法で解禁された。同町の第三セクターが国内で初めて許可を取得し、運行している。
同町などによると、今年4月までの利用者数は1348人。観光客の利用が多いといい、企業や自治体による視察も相次いでいる。
一方、昨年10月には止めてあった自転車のペダルと接触する事故が発生。乗客にけがはなかったが、一時運行中止を余儀なくされた。車両のカメラが自転車を認識できなかったのが原因で、認識性能を向上させる対策を取り、冬季運休期間後の今年3月に再開した。
利用したことがある同町の飲食業、井上隆二さん(61)は「将来はスーパーや病院につながるとありがたいが、スピードが遅いから車や路線バスとは少し違う」と話す。
国は自動運転での移動サービスを地域公共交通の維持や、ドライバー不足の解決策と位置付け、2025年度に全国50カ所に広げる方針。ただ、現状では法律や技術上の問題で交差点の横断などが難しく、同町の担当者は「交差点は(運行を管理する)人が判断できるようにするなど、許認可制度の柔軟化が必要だ」と訴える。
事業の採算性も課題だ。周辺の公共交通に合わせ、利用料金は「大人1人100円」と設定されているが、運行する三セクの担当者は「事業費を賄うことも難しい」と漏らす。このため走行中に車内に映像を映し出し、乗車料金とは別にサービス料を徴収する案も検討する。
金沢大の田中健作准教授(交通地理学)は、自動運転について「将来的には路線の省力化や交通システムの円滑化に寄与する可能性がある」と指摘する。その上で「国や自治体、事業者が(自動運転を使って)どんな社会を目指すか、住民と議論して明示することが地域のニーズに合った活用につながる」と語った。
[時事通信社]
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