ライドシェア結論先送り=全面解禁、反対派に配慮―政府
政府は30日、一般ドライバーが自家用車を使い有償で客を運ぶ「ライドシェア」の全面解禁に関し、6月以降も法整備の検討を継続すると決めた。岸田文雄首相は6月に方向性を示したい考えだったが、IT事業者などの参入に対して自民党内で賛否が割れているのに加え、国土交通省や公明党に反対論が強い現状を踏まえて結論を先送りした。
ライドシェアは4月から東京都や愛知県、京都府などの一部地域で時間帯を限って導入された。運行管理はタクシー会社が担っている。
首相は30日、全面解禁に積極的な河野太郎規制改革担当相、慎重派の斉藤鉄夫国交相と首相官邸で会談。(1)導入後の状況を確認・検証する(2)タクシー事業者以外の参入に関し、並行して法制度を議論する(3)検証作業や法制度の議論に特定の期限は設けない―とすることで合意した。31日に開く規制改革推進会議に報告する。
全面解禁を巡り、斉藤氏は法整備の議論自体に反対し、河野氏は検証作業と併せて法制度の検討を急ぐよう求めてきた。合意事項は双方の主張を取り入れた形だが、斉藤氏は記者団に対し、法制度の議論に期限を設けないとした点に触れ「(タクシー事業者などの)懸念は払拭できる」と強調した。
国交省は今後の議論について、需給に応じて運賃を変動させる「ダイナミックプライシング」(変動価格制)の導入、バス・鉄道事業者が参入しやすい仕組みづくりを優先したい考えだ。
3者会談に先立ち、公明党の地域交通に関するプロジェクトチーム座長の赤羽一嘉前国交相は首相に対し、「法整備の議論を拙速に進めることは容認できない」とする提言を提出した。首相はライドシェア推進派の菅義偉前首相を衆院議員会館の事務所に訪ねて意見を交わした。
[時事通信社]
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