JTBなど4社に排除命令=コロナ患者移送で談合―公取委
青森市が発注した新型コロナウイルス患者移送業務の入札で談合したとして、公正取引委員会は30日、独禁法違反(不当な取引制限)で、旅行最大手JTB(東京都)など4社に排除措置命令を出した。公取委によると、新型コロナ関連事業を巡る排除措置命令は初めて。
他に命令を受けたのは、東武トップツアーズ(東京都)、日本旅行東北(仙台市)、名鉄観光サービス(名古屋市)の3社。談合には近畿日本ツーリスト(東京都)も加わっていたが、課徴金減免制度に基づいて、公取委の立ち入り検査前に違反を自主申告していたことなどから処分を免れた。
公取委などによると、談合があったのは青森市が発注した、コロナ患者を自宅から宿泊療養施設などへ移送する業務。2022年4月~23年3月に5件の指名競争入札が行われ、近ツーを含む5社は事前に、受注業者を決め、残りの業者にも業務の一部を再委託することで合意していた。
近ツーが計約3200万円ですべて落札。利益は入札に参加しなかった業者も含めてほぼ均等に分配され、1社当たり数百万円を得ていたという。コロナ禍で旅行需要が落ち込む中で、各社が利益を確保する狙いがあったとみられる。
公取委は今回、課徴金算定額が100万円未満となったため、独禁法の規定により課徴金の納付命令ができなかった。一方、20年12月施行の改正独禁法の規定を初適用し、落札していない旅行会社にも排除措置を命じた。青森市内で記者会見した公取委の小室尚彦第2審査長は「実際に受注しなくても談合によって利益を得る事業者のやり得は許されない」と強調した。
JTBは命令を受け、「今後、コンプライアンスに関する取り組みを強化し、早期の信頼回復を目指し、再発防止の徹底に努めていく」とコメント。近ツーなども同様の見解を示した。
公取委は発注元の青森市に対しても、再発防止に向けて適切な措置を取るよう申し入れるとともに、業界団体の「日本旅行業協会」にも会員企業に独禁法の順守を周知徹底することなどを求めた。
[時事通信社]
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