教諭ら3人に実刑判決=「重い不注意による人災」―那須雪崩事故・宇都宮地裁
栃木県那須町で2017年、登山講習会中に県立大田原高校山岳部の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた教諭ら3人の判決が30日、宇都宮地裁であった。滝岡俊文裁判長は「雪崩の危険性を十分に予見することができた。重い不注意による人災だった」とし、いずれも禁錮2年(求刑各禁錮4年)を言い渡した。
3人は、講習会責任者だった猪瀬修一被告(57)、生徒らが死亡した班を引率した菅又久雄被告(55)、後続の班を率いた渡辺浩典被告(61)。
雪崩の予見可能性が主な争点だった。弁護側は「雪崩が発生することを予見できなかった」として無罪を主張していた。
判決で滝岡裁判長は、事故当時、現場は少なくとも30センチ以上の積雪があり、植生もまばらで急斜面だったと指摘。「雪崩発生の危険性を予見することは十分に可能だった」として、弁護側の主張を退けた。
「訓練範囲を定め、各班に伝えるなど安全確保の措置を取っていた」とする弁護側主張に対しても、「訓練区域を明確に定めず、的確に周知もしなかった」と認定。学校教育の一環として行われた講習会だったのに「地形図の確認や降雪量の情報入手など、安全確保のための情報収集を怠った」と断じた。
その上で、故意でないとはいえ、8人の命が奪われた結果は非常に重大で、突如としてわが子を失った遺族の心痛は察するに余りあると指摘。3人は刑事責任の軽重に格段の違いはなく、事実関係を否認していることなどを踏まえると、「刑の執行を猶予すべき事情があるとは言えず、実刑は免れない」と結論付けた。
[時事通信社]
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