理論と熱、弟子に伝える=元稀勢の里、優勝力士育て―大相撲夏場所
![初優勝し、二所ノ関親方(右)に水をつけてもらう大の里=26日、茨城県つくば市](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240526atI7S_p.jpg?updated=1716681703)
元横綱稀勢の里が師匠を務める二所ノ関部屋から、早くも幕内優勝力士が誕生した。田子ノ浦部屋から2021年8月に独立後、3年足らず。幕内3場所目の新小結大の里が賜杯を獲得した。
親方は茨城県牛久市出身。隣接する阿見町に一昨年、新たな部屋を構えた。自身を育ててくれた地元と密着し、一身に期待を背負いながら「この地から将来的に横綱、大関を出すことが夢。そのために精進する」と誓った。
理論派として知られ、早大大学院では部屋の経営などを研究した。稽古場には土俵を二つ設けるなど、固定観念にとらわれない発想を持つ。一方で、その指導には熱がある。現役引退は19年初場所。朝稽古では、折を見ては白まわしを締めて土俵に下り、弟子と直接肌を合わせている。
「自分は横綱として語り切れないぐらい、いい思いをした。同じ思いをしてほしいからこそ、厳しい指導をしている」。その熱意は確かに弟子の心に届いている。
大の里は日体大で2年続けてアマチュア横綱に輝き、その名をとどろかせていた大器。他の部屋からの誘いもあった中、憧れの元稀勢の里の下で腕を磨こうと決めた。幕下10枚目格付け出しデビューから所要6場所で新三役に昇進し、勢いそのままに賜杯獲得。「この速さで小結に昇進するのは予想外。順調過ぎる」とは師匠。自身は中卒たたき上げで初優勝までに15年を要しただけに、望外の快挙への喜びはさらに大きいだろう。
大の里の他にも、部屋には十両白熊、幕下嘉陽ら将来を嘱望される力士がいる。元横綱の薫陶を受け、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら、二所ノ関部屋に新たな歴史を刻んでいく。
[時事通信社]
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