物理学入門の新刊、点訳本に=視覚障害者ら、専門家と協力―高エネ研と筑波技術大
最先端の物理学研究を分かりやすく解説した入門書「宇宙と物質の起源」とその点訳本がこのほど完成した。専門知識が必要な理科系書籍の点訳本は少ないといい、製作チームは視覚障害者用の機器で読める点字データをインターネットで公開するとともに、通常版の印税などを基に、点字図書館などを通じて普及を図る。
同書は、138億年前に宇宙が誕生し、そこから物質、地球、生命が生まれた過程を高エネルギー加速器研究機構の研究者が最新の知見や実験を使って解説。高校生以上を想定し、通常版は講談社ブルーバックスから3月発刊された。
製作に当たったのは高エネ研と、日本で唯一の視覚・聴覚障害者向けの国立大、筑波技術大。従来は、既刊本をボランティアらが点訳することが多く、視覚障害者に分かりにくい図や表現が含まれることもあったが、今回は執筆段階から、点訳の専門家や視覚障害を持つ研究者らが協力。アイデアを出し合いながら製作を進めた。
スイスにある欧州合同原子核研究所(CERN)の大型加速器「LHC」の図は、通常版では斜め上からの視点で3次元的に描かれていたが、点訳者が「円形の加速器を楕円(だえん)形と誤解しやすい」と指摘。手で触れる「触図」では、真上から見た形にするなどの工夫を凝らした。
製作チームの藤本順平・高エネ研シニアフェローは「当事者の方に試読してもらい、頂いた意見も励みになった。やってよかった」と笑顔。筑波技術大の宮城愛美准教授も「この分野の一流の研究者とやりとりしながら点訳する、恵まれた機会を頂いた」と振り返った。
[時事通信社]
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