ケアマネの業務範囲議論=「何でも屋」負担増も―介護保険制度で厚労省
厚生労働省は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の負担軽減策として、業務範囲の明確化や研修の充実に向けた議論に着手した。有識者会議で課題を話し合い、秋ごろに中間整理をまとめる。ケアマネを巡っては、利用者や家族が雑務を頼む「何でも屋」になっている実態も指摘されている。同省は中間整理を踏まえ、介護保険制度の改正や運用改善を目指す。
ケアマネは、介護保険法に基づき都道府県が認定する資格。介護保険サービスを利用する人向けの「ケアプラン」を作るほか、対象者の家族からの相談対応、自治体やサービス事業者との連絡調整などを行う。
高齢化の進展でケアマネの需要が高まる一方、従事者は2018年度の約18万9000人をピークに減少傾向にある。日本総合研究所の調査によると、ケアマネの必要人数は25年度に約33万人、40年度に約39万人と見込まれ、確保が急務だ。
しかしケアマネは業務量の多さや業務範囲のあいまいさが指摘されている。4月に立ち上がった有識者会議では現場を知る委員が「利用者や家族がとりあえず何でも相談・依頼し、『何でも屋』になっている」「(範囲外の仕事でも)他に誰も対応できる人がいなかったり、緊急を要していたりするケースが少なくなく、対応せざるを得ない状況が多い」などと指摘。救急車への同乗や、介護保険に関係ない役所の手続きを頼まれることもあるという。
そこで同省は業務を明確化して人材確保につなげたい考えだ。有識者会議では検討項目として、範囲の整理や主任ケアマネの役割の明確化などを列挙。専門性を高める研修の仕組みや、資格試験の在り方も検討する。負担軽減の一環として、現場での情報通信技術(ICT)の活用策も議論する。
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