2024-05-15 20:21政治

脱炭素エネルギー、国力左右=基本計画見直し、電源構成焦点―経産省

電源構成のイメージ
電源構成のイメージ

 経済産業省は15日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の基本政策分科会を開き、「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論を開始した。世界的に脱炭素の流れが加速する中、二酸化炭素(CO2)排出を抑える原発や再生可能エネルギーの電源構成上の位置付けが焦点。斎藤健経産相は「脱炭素エネルギーを安定的に供給できるかが国力を大きく左右する」と強調した。
 エネルギー基本計画は、国の中長期的なエネルギー政策の方向性を定めるもので、3年に1度改定される。斎藤氏は前回計画決定時から「わが国を取り巻く状況は大きく変化している」と指摘。エネルギー資源に乏しい日本にとって、地政学的リスクへの対応の重要性が増しているとの認識を示した。
 政府は2050年にCO2など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。13日には、40年に向けた脱炭素化の長期ビジョンの議論も開始。同ビジョンとエネルギー計画の検討を並行して進め、ともに24年度中の策定を目指す。 
 脱炭素化には電源構成の7割程度を占める火力発電への依存度低減が不可欠。21年に策定した現行計画では、30年度の電源構成を、再エネが36~38%、原発は20~22%としている。改定では脱炭素化ビジョンを踏まえた、より長期の電源構成の在り方などが議論される見通しだ。
 経産省によると、ウクライナ危機に伴い液化天然ガス(LNG)の価格は19年比で22年には平均で約6倍に高騰。原油の約9割以上を中東からの輸入に頼っていることから、同地域の情勢悪化も安定調達に影を落とす。エネルギー安全保障の観点から、再エネ比率引き上げや官民が開発を進める次世代原発の位置付けが議論されそうだ。
 人工知能(AI)の急速な普及に伴い、大量の電力を消費するデータセンターも増加しており、経済活動を支える安定的な電力供給体制を構築できるかが問われている。

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