経済危機のレバノン、シリア人を本国送還
【ベイルートAFP=時事】レバノンは14日、同国に逃れていたシリア人数百人を本国に送還した。経済危機に見舞われているレバノンでは、大勢の難民受け入れに反発する声が高まっている。≪写真は、レバノン北東部アルサルで、シリアに帰還する難民が乗る車両≫
AFPカメラマンによると、シリアとの国境に近い北東部アルサルでは同日朝、シリア人送還のためのバンやトラックが待機していた。マットレスなど家財が山のように積まれ、家畜を乗せている車両もあった。
レバノンの国営通信社NNAは、約330人が「自主帰還」リストに登録されていると報道。シリアの国営シリア・アラブ通信(SANA)も、レバノンからシリア人が帰還したと伝えた。ただ人数には触れていない。
レバノンには現在、シリア人が約200万人滞在している。人口1人当たりが受け入れているシリア人の規模では、世界最多となっている。そのうち約78万5000人が難民として国連に登録されている。
レバノンは2019年以来、深刻な経済危機に陥っている。欧州連合(EU)は今月、域内への不法移民流入阻止に向け、レバノンに対し総額10億ユーロ(約1700億円)の支援を表明した。しかし、レバノン国内では難民受け入れに対する反発が強まっており、支援規模は不十分と受け止められている。
レバノンは2017年、シリア難民の「自主帰還」措置を小規模な形で開始。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは当時、同措置について、難民がシリアに戻れば「深刻な虐待や迫害」にさらされる恐れがあると批判していた。【翻訳編集AFPBBNews】
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