「未来志向の協力議論」=サミット4年半ぶり開催へ―日中韓事務局長インタビュー
【ソウル時事】日中韓3カ国の首脳会談(日中韓サミット)が今月下旬、ソウルで開かれる見通しだ。実現すれば2019年以来、約4年半ぶり。3カ国の協力を推進する日中韓三国協力事務局(ソウル)の李熙燮事務局長は時事通信のインタビューに応じ、サミットは「未来志向の協力を議論する場になる」と展望。「協力の制度化が何より重要だ」と語った。主なやりとりは次の通り。
―開催の意義は。
新型コロナウイルス感染拡大などで停滞していた3カ国協力の活気を取り戻す機会になる。世界的な保護貿易主義、地政学的要因、ウクライナ紛争といった局地的戦争などの複合危機で、3カ国の緊密な協力が求められている。未来志向の協力の方向性を議論する場となり、これは3カ国協力の完全な復活という意味を持つ。
―どんなテーマが話し合われるか。
昨年11月の日中韓外相会談の議題を基に(1)人的交流(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)(3)持続可能な開発と気候変動(4)保健や高齢化対応(5)経済・通商(6)平和・安全保障―を中心に、国民が実感できる協力について議論するとみられる。特に未来の世代の交流活性化を議論するだろう。
―日米韓協力も進む中、日中韓協力の意義は。
日米韓協力が朝鮮半島の平和のための「安保共同体」である一方、日中韓協力は隣り合って経済を営む「生活・経済共同体」だ。目的と利益が本質的に異なるため相互補完的と言える。
―2国間ではそれぞれ摩擦もある。
3カ国協力が円滑に行われることは2国間関係にも肯定的影響がある。2国間関係が政治的に冷え込んでも、相互協力の必要性により3カ国協力は持続してきた。協力の制度化が何より重要だ。対立が起きても、互いに会って対話を通じて解決し、状況を管理していくことが求められる。
―北朝鮮への対応を巡り、日韓と中国には温度差がある。
北東アジアの緊張が高まることはどの国も望まない。事務局設立時、目標として持続的な平和を設定していることからも分かる。3カ国の首脳は朝鮮半島の緊張が高まるたびに北朝鮮の核・ミサイル問題での協力の必要性を強調してきた。
―これまでの成果は。
1999年に始まった3カ国協力は目覚ましい発展を遂げてきた。3カ国間の貿易額は1300億ドル(約20兆円)から22年には7800億ドル(約120兆円)に増加し、人的交流も広がった。3カ国協力は、2国間の関係改善の契機にもなり得る。3カ国全てにとって大切な外交資産と言える。
[時事通信社]
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