国産液晶、風前のともしびに=価格競争、シャープもテレビ向け撤退
シャープがテレビ向けの大型液晶パネルを製造する堺工場(堺市)の稼働停止を決めた。海外メーカーとの価格競争に敗れ、テレビ向けを手掛ける国内勢は姿を消す。大手メーカーの中小型液晶を統合したジャパンディスプレイ(JDI)も10期連続の最終赤字を計上。かつて世界を席巻した「日の丸液晶」は風前のともしびだ。
シャープの呉柏勲社長は14日の記者会見で、液晶パネル事業について、「巨額投資をしていかなければ、競争力を維持できない」と強調。今後、中小型パネル生産も縮小する方針を示した。
液晶パネル市場は、韓国や台湾、中国メーカーの参入で競争が激化。シャープは三重県・亀山工場で生産する液晶テレビ「世界の亀山モデル」で市場をけん引してきたが、堺工場への巨額投資が裏目に出て経営危機に陥った。2016年から台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で再建を進めたが、液晶パネルの市況低迷が長期化、経営の重荷となっていた。
他の国内勢の多くは既に液晶から手を引いている。パナソニックは16年にテレビ向けの生産から撤退。その後、カーナビなど車載向けや医療機器向けに絞って生産を続けてきたが、21年に全ての生産を終了した。三菱電機も採算の悪化により23年に液晶パネル事業から撤退した。
ソニー、日立製作所、東芝の中小型液晶パネル事業を統合して発足したJDIは、24年3月期連結決算で443億円の純損失を計上、10期連続の赤字となった。採算の見込めないスマートフォン向け液晶パネルから撤退し、有機EL(エレクトロルミネッセンス)に活路を見いだす考えだが、浮上できるかは不透明だ。
[時事通信社]
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