イスラエル軍猛攻撃 「地獄」語るラファ避難民
【ラファAFP=時事】パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファの沿岸部は12日、イスラエル軍によるラファ東部への猛攻撃から逃れてきた人々であふれていた。≪写真は、パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファから避難する家族≫
「私たちは地獄のような3日間を耐えた」。ラファ東部から北西部マワシ地区に逃れてきたムハンマド・ハマドさん(24)は言った。マワシ地区は避難民の流入に対する備えがないと援助団体が警告しているにもかかわらず、イスラエルが退避先だとする「人道地帯」に指定されている。
イスラエルによると、これまでに退避命令を受けて30万人がラファを脱出した。
イスラエル軍は国際社会の反対を押し切り、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの最後の拠点を破壊するとして、人口が集中するラファに攻撃の焦点を移しつつある。
目撃者によるとラファ東部ではここ数日、イスラエル軍による激しい爆撃が実施されている。戦車や地上部隊を送り込み、「限定的な地上作戦」を行っているとされる。
これまで7か月に及ぶ紛争で、ガザ地区の他の地域のパレスチナ人数十万人がラファに避難したことから、ラファの人口は約140万人に膨れ上がっていた。
イスラエル軍はラファ東部への攻撃開始時に「朝から(攻撃を知らせる)ビラを配布したが、その直後に猛烈な砲撃と空爆を開始した」とハマドさんは語った。
■死を望むところまで来ている
AFPカメラマンは、家財道具をトラックに積んでラファを離れる何十世帯もの家族を目撃した。多くが目指しているのはガザ地区南部の中心都市ハンユニスだ。
イスラエル軍は先週、エジプトとガザを結ぶ検問所のパレスチナ側を占拠・閉鎖。検問所は、ガザ地区への燃料供給のすべてが通過する地点となっている。
ガザ地区の民間防衛当局者は「ガザ北部の避難民には医療サービスも人道支援も届いていない。(イスラエル軍による)今回の侵攻初期と同様の殺りくと破壊だ」と述べた。
ある女性は、戦闘から逃れるために家族で7回も移動したと語った。「私たちは死を望むところまで来ている。家族には身体障害者、高齢者、子どもがいる。昼も夜も爆撃がやまないのに、私たちはどこへ行けばいいのか」
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク高等弁務官は12日、ラファに対するイスラエル軍の全面攻撃は国際法とも整合性がないと指摘し、「起こしてはならない」と述べる。
「(イスラエルによる)最新の退避命令はラファにいる100万人近い人々に影響を与える。彼らはどこへ行けばいいのか。ガザに安全な場所はない!」【翻訳編集AFPBBNews】
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