侵攻中のサプライズ人事=ショイグ国防相退任―ロシア
通算5期目に入ったロシアのプーチン大統領は12日、2012年から務めてきたショイグ国防相を退任させ、安全保障会議書記に任命した。ウクライナ侵攻を続ける中、軍・国防省を率いる後任に経済学者のベロウソフ第1副首相を充てるサプライズ人事で、ロシア政界に激震が走った。
軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長の交代もささやかれており、その場合、侵攻の行方を左右する可能性がある。折しもロシアは10日、国境からウクライナ北東部ハリコフ州に再び地上侵攻したばかりだ。
ショイグ氏は1990年代のエリツィン政権時代から非常事態相などを歴任した大物政治家。政権与党「統一ロシア」の原型もつくった。今回の転出先である安保会議書記は、プーチン氏最側近パトルシェフ氏の08年からのポスト。形式上は「昇格」に当たるが、その評価は割れている。
保守派が「首都キーウ(キエフ)を3日間で制圧する」と豪語していた侵攻は3年目に突入。22年秋にハリコフ州などからロシア軍が撤退した際、ショイグ氏は「弱腰」と批判された。民間軍事会社「ワグネル」の創設者故プリゴジン氏とも対立し、昨年6月の反乱を許した。
安保会議は、プーチン政権の最高意思決定機関。しかし、パトルシェフ氏が影響力を誇ったのは、要の書記だからではなく、連邦保安局(FSB)出身者であることが理由とされる。国民に不人気で20年に首相の座をミシュスチン氏に譲ったメドベージェフ氏は安保会議に副議長として転出。安保会議は「行き場のない要人のたまり場になった」(政治学者)という見方もある。
ベロウソフ氏や留任のラブロフ外相らを含む軍・治安機関などのトップ人事は、13、14両日に上院で協議された上で、プーチン氏が任命する見通し。ペスコフ大統領報道官によると、パトルシェフ氏の処遇は近く明らかにされる。
[時事通信社]
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