経常黒字、過去最大25兆円=貿易赤字縮小、旅行収支も最高―23年度
財務省が10日発表した2023年度の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支は、25兆3390億円と過去最大の黒字となった。貿易収支の赤字幅縮小が主因で、黒字額は比較可能な1985年度以降で最高だった07年度の24兆3376億円を上回った。
経常黒字額は前年度と比べ2.8倍となった。訪日客の増加で旅行収支の黒字額が最高だったことも寄与した。
輸出は、半導体の供給制約が緩和した自動車が好調で2.1%増の101兆8666億円。輸入は、石炭や液化天然ガス(LNG)、原油の価格高騰が一服した影響で10.3%減の105兆4391億円だった。輸出から輸入を引いた貿易収支は3兆5725億円の赤字で、前年度と比べ赤字幅が8割縮小した。
輸送や旅行などのサービス収支は、2兆4504億円の赤字。訪日客数が前年度比3.4倍に増え、旅行収支は4兆2295億円と、過去最大だったコロナ禍前の19年度を上回った。一方、ネット広告などのサービスの取引を示すデジタル関連収支は5兆5714億円のマイナスと、最大の赤字幅を更新した。
企業が海外子会社から受け取る配当金や利子の収支を示す第1次所得収支は、0.6%増の35兆5312億円の黒字だった。3年連続で過去最大を更新した。好調な企業業績のほか、海外金利の上昇、円安の影響も大きかった。
同時に発表した24年3月の経常収支は前年同月比44.0%増の3兆3988億円の黒字。貿易収支が3カ月ぶりに黒字転換し、14カ月連続の黒字だった。
◇23年度の国際収支
2022年度 23年度
経常収支 90,787 253,390
貿易・サービス収支 ▲231,771 ▲60,230
貿易収支 ▲177,869 ▲35,725
輸 出 997,385 1,018,666
輸 入 1,175,254 1,054,391
サービス収支 ▲53,902 ▲24,504
第1次所得収支 353,150 355,312
第2次所得収支 ▲30,592 ▲41,692
(注)単位億円。▲は赤字
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