2024-05-09 22:41TOPICS

「殺されてもおかしくなかった」=海外売春の女性、おびえた日々―ホストで借金、やむなく渡航

東京都新宿区の歌舞伎町を歩く女性(AFP時事)(資料)
東京都新宿区の歌舞伎町を歩く女性(AFP時事)(資料)

 東京都内に住む女性は昨年6月、ホストクラブで抱えた借金の返済のため、売春エージェントのあっせんで海外に渡った。地下の部屋で、乱暴に扱われながら客の相手をする日々。「言葉も通じず、いつ殺されてもおかしくなかった」と当時を振り返った。
 派遣されたのはマカオの売春施設だった。約束された報酬は1時間3万円。着物のような衣装を身にまとい、夕方から朝まで客前に立った。指名されると客の男性と別室へ。1日に5~6人を相手にした。
 逃げ場のないホテルの地下の部屋で、客に避妊を拒まれたり、首を絞められたりした。「拒否しても通じない。殺されてしまう」。抵抗を諦め、行為が終わるとひたすら体を洗い流した。1週間ほどで耐えられなくなり、自費で航空券を購入し逃げるように帰国した。
 きっかけは昨年1月、初めて訪れた東京・歌舞伎町のホストクラブだった。いつも動画サイトで見ていた人気ホストは、あからさまに好意を示し、プレゼントもくれた。地元に帰った後も毎日連絡を取り、店を訪れる交通費やホテル代を負担してくれたこともあった。結婚をほのめかされ、一緒に暮らす約束もした。「付き合っていると思っていた」。
 一方で、ホストは「売り上げを助けて」と要求をエスカレートさせた。「持っているカードを全部出せ」と客前で怒鳴られて勝手に決済され、支払額が月1000万円に上ったこともあった。支払いに窮すると、「月に800万円稼ぐ人もいる」と海外売春を勧めてきた。「行きたくない」と言うと怒鳴られた。追い詰められ、紹介された売春エージェントに連絡した。
 帰国後、報酬は支払われなかった。女性は「ホストに直接渡ったのでは」と推察する。疑念が深まり、ホストとは会うのをやめた。
 女性は今、借金返済のため、風俗店で働いている。もらえなかった報酬は諦めた。ホストからの高額請求に悩む当事者らを支援する一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会(青母連)」(東京)に相談もしている。「海外売春は死にに行くようなもの。自分を傷つける行為だから思いとどまってほしい」と訴えた。 

海外売春をあっせんされ、マカオへ渡航した女性=4月8日、東京都新宿区
海外売春をあっせんされ、マカオへ渡航した女性=4月8日、東京都新宿区

最新動画

最新ニュース

写真特集