中国主席、欧州3カ国訪問=米欧連携にくさび
【北京時事】中国の習近平国家主席は5日、フランス、セルビア、ハンガリーの欧州3カ国歴訪を開始した。最初の訪問地フランスではマクロン大統領との首脳会談のほか、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長を交えた3者会談を行う。貿易摩擦が続く欧州との関係改善につなげ、米欧間の連携にくさびを打ちたい考えだ。
習氏の欧州訪問は2019年以来。中国は、米国と一線を画した独自外交を掲げるフランスをEU内の連携相手として重視している。昨年4月にマクロン氏が訪中した際は、習氏が南部の広東省まで同行するなど異例の厚遇で迎え、中仏企業の大口契約も交わされた。
マクロン氏は今回、返礼として習氏を南仏に招待する。習氏としては、岸田文雄首相の訪仏直後にマクロン氏との親密さを誇示することで、対中包囲網を強める日米をけん制する思惑もありそうだ。
仏大統領府筋は、会談ではロシアによるウクライナ侵攻が主要議題となり、習氏に対して「ロシアへの影響力行使を促す」と説明した。中国による電気自動車(EV)などの過剰生産問題についても協議する見通しだ。
習氏のセルビア入りは、1999年5月7日に北大西洋条約機構(NATO)が当時ユーゴスラビアの首都だったベオグラードを攻撃した際、米軍が中国大使館を誤爆した事件から25年の節目と重なる。米主導のNATOに対する批判的メッセージを打ち出すと予想される。
中国とハンガリーは、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた結び付きが強く、中国EV大手・比亜迪(BYD)の工場建設など巨額投資案件が進む。習氏はオルバン首相との会談で、経済面でのさらなる協力拡大を呼び掛けるとみられる。
[時事通信社]
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