ボール飛ばない?証言続々=開幕1カ月の本塁打減少―プロ野球
プロ野球で今季、現場から「ボールが飛ばない」との声が上がっている。3月15日、中日―阪神のオープン戦(バンテリンドームナゴヤ)。中日の中田が左翼へ放った飛球は大きな弧を描いたが、フェンス手前で失速。外野手のグラブに収まった。立浪監督は試合後、「オープン戦でボールの飛びが重い感じがある」と語った。監督は、その後もたびたび同様の発言をしている。
西武の職員でデータ分析などを担う森川佳氏は「実際に飛ばなくなっている」と断言する。「前は打球速度が150キロ台後半だったら、ポール際ならいく(柵越え)みたいな感じがあったが、(今季は)明らかに足りない。160キロが目安」。ヤクルトの村上は「打感や打球速度と飛距離が比例していないところがある」と語り、ソフトバンクの山川も似通った印象を口にした。DeNAの桑原は外野守備で違いを感じ、「2、3メートルは飛距離が変わるのでは」という。
結果にも表れている。開幕1カ月後の4月29日時点で12球団の本塁打総数は139で、昨年(190)より3割弱減少した。1試合平均の本塁打数を過去10年の開幕1カ月後と比べると、今季の0.92が最低。統一球が導入された2011年以降では、低反発の球を使っていた12年(0.70)に次いで2番目に少ない。
22年に無安打無得点試合が相次ぐなど、近年は「投高打低」の傾向が強い。投手の球が全体的に速くなっていることなどが理由と言われるが、昨年も「特別、投手は去年(22年)までと変わっていない。ボールが飛ばなくなったのもあるのでは」(ソフトバンク・長谷川打撃コーチ=当時)などの指摘があった。
13年には、反発係数が基準値を上回る球を日本野球機構(NPB)が公表せずに使用し、問題となった。統一球を製造するミズノ社はこのほど、広報を通じ「品質管理を徹底し、仕様と反発係数などは規定の数値に収まっている」とコメント。NPB広報室も「厳重に管理し、アグリーメントの規定値に沿ったボールを使用している」とした。日本プロ野球選手会は、各球団で聞き取りを行う意向を示している。
[時事通信社]
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