「円滑化協定」交渉入り合意=中国にらみ安保連携強化―日仏首脳
【パリ時事】岸田文雄首相は2日午後(日本時間同日夜)、フランスのマクロン大統領とエリゼ宮(大統領府)で会談し、自衛隊と仏軍の相互往来を容易にする「円滑化協定(RAA)」締結に向けた交渉入りで合意した。中国の軍事的台頭を踏まえ、安全保障面での連携拡大を打ち出した。
RAAは自衛隊と仏軍が相手国で活動する際の法的地位を定めるもので、出入国や武器・弾薬持ち込みの手続きが簡素化される。日本はこれまでオーストラリア、英国と締結しており、フィリピンと交渉中だ。
日仏は情報保護協定や防衛装備品・技術移転協定、物品役務相互提供協定(ACSA)を締結済みで、「準同盟」の色彩が強まることとなる。フランスは南太平洋に仏領ポリネシアなどを抱える「太平洋国家」で、仏陸軍が陸上自衛隊と昨年ニューカレドニアで初の共同訓練を行うなど、近年、日本と連携した活動が増加傾向にある。
日仏首脳はまた、戦略物資のサプライチェーン(供給網)構築に向け、重要鉱物資源に関する情報共有などの協力強化を確認。政府開発援助(ODA)を通じたインド太平洋地域での開発協力の共同プロジェクト推進で一致した。生成AI(人工知能)のルール整備など、幅広い分野の協力も話し合った。
首相は会談後、パリのオルリ空港で記者団の取材に応じ、日仏のRAAについて「インド太平洋地域の平和と安定に貢献する」と強調。首脳会談に関しては「インド太平洋と欧州・大西洋の安全保障を切り離して考えることは困難だ」との認識で一致したと説明した。
◇日仏首脳会談ポイント
一、円滑化協定の交渉開始
一、重要鉱物確保で協力強化
一、日仏共同で開発協力推進
一、生成AIルール整備で連携
[時事通信社]
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