プーチン氏、「予測不能」警戒か=トランプ再選シナリオに―米大統領選
ロシアのプーチン大統領は、11月の米大統領選で共和党のトランプ前大統領が返り咲くシナリオに一定の警戒感を抱いているもようだ。「親ロシア」とされるトランプ氏だが、問題なのは行動や発言が読みにくい「予測不能」な面。ウクライナ侵攻でロシアが主導権を握りつつある現在、民主党のバイデン政権の継続が有利と判断している可能性もある。
「(ロシアにとって望ましいのは)バイデン氏。より経験豊富で予測可能な昔ながらの政治家だ」。プーチン氏は2月の国営テレビの取材で、選挙戦に関する質問に初めて口を開いた。
「米国民が選んだ指導者と協力する」と中立を装ったが、バイデン氏の方が「扱いやすい」という意味にも捉えられた。手ごわい相手ということになったトランプ氏は「最大の賛辞だ」と歓迎。プーチン氏はその後、肩入れと受け取られかねない発言を封印した。
ロシアによる2014年のウクライナ南部クリミア半島「併合」と22年の全面侵攻は、米国が民主党政権時代に起きたという共通点がある。対立する西側諸国の盟主・米国の動きが予測可能だとロシアも作戦を立案しやすいが、反対に予測不能な場合、慎重にならざるを得ない。
16年米大統領選では、プーチン氏に近い実業家だった故プリゴジン氏の企業が偽情報を流し、トランプ氏の勝利につながるよう工作したとされる。ただ、ロシアは基本的に民主、共和両党の両にらみ。党派対立を先鋭化させて米国に分断をもたらすことが、自らの国益にかなうと判断しているとみられる。
もっとも、トランプ氏が再選すれば、最大限「利用」する公算が大きい。プーチン氏は2月、西側メディアの取材を原則拒否する中、米保守系FOXテレビの看板司会者だったカールソン氏のインタビューに特例で対応。視聴する共和党支持者に働き掛けた。トランプ氏がウクライナ支援に難色を示しているのを念頭に「武器供与をやめよ。数週間で戦争は終わる」とけしかけた。
[時事通信社]
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