6月解散、与党で強まる慎重論=立民代表、内閣不信任案に含み
自民党は衆院3補欠選挙で不戦敗を含め全敗した。特に、「保守王国」島根1区で完敗を喫し、与党には危機感が渦巻く。6月23日の今国会会期末に合わせた衆院解散も取り沙汰されるが、与党内では「岸田文雄首相が『党の顔』では戦えない」と慎重論が強まっている。一方、立憲民主党の泉健太代表は投開票から一夜明けた29日、内閣不信任決議案提出の可能性に言及した。
「党に対する批判はすごいものがある」。自民幹部は裏金事件を受けた厳しい民意をこう語った。
補選で明らかになったのは、「自民離れ」の兆しだ。島根1区は1996年の小選挙区制導入以来、自民が議席を独占してきた。だが、今回補選の出口調査によると、自民支持層の2割程度が立憲民主党に流れ、自民候補への無党派層の支持は3割に届かなかった。
茂木敏充幹事長は28日夜、国民の信頼回復には「時間がかかる」と記者団に語った。与党内では会期末解散への慎重論が相次いでおり、麻生派中堅は「首相の下で解散はできない」と断じた。公明党関係者は「島根で勝てば、首相は6月解散と言い出し、政権を失いかねなかった」とあけすけに語った。
首相は外交や経済問題に注力し、政権浮揚を図る構えだ。自民内で、補選敗北を受け首相らの責任を問う声は、大型連休に入ったこともあり現段階では広がってはいない。しかし、「夏まで務めてもらい、9月の党総裁選で交代だ」(安倍派中堅)との意見も少なくない。
一方、立民の泉代表は29日、大阪市内で記者団に、会期末に向けた内閣不信任案提出について「検討の可能性は当然ある」と語った。連合との意見交換会では3補選に触れ「有権者の強い怒りを感じた」と強調した。
5月に本格化する政治資金規正法の改正論議は与野党の主張に隔たりがあり、難航が予想される。泉氏は「自民党の姿勢が変わらないなら攻勢を強め、解散総選挙を含め政権は信任に値しないと明確にしたい」と意気込みを語った。
[時事通信社]
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