衆院3補選、自民全敗=立民完勝、維新も下す―岸田政権に打撃
自民党派閥の裏金事件後初の国政選挙となった衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補欠選挙が28日、投開票され、自民党は唯一候補を立てた島根を落として全敗を喫した。立憲民主党は9人乱立の東京、日本維新の会と一騎打ちを展開した長崎を含めて完勝。岸田文雄首相(自民総裁)に深刻な打撃となった。
3補選はいずれも「政治とカネ」の問題が取り沙汰された自民議員の辞職・死去に伴う。強い批判が民意として示された形だ。
与野党は5月の大型連休明けから、後半国会の焦点となる政治資金規正法の改正論議を本格化させる。規制強化を訴える立民など野党が攻勢を強めるのは必至。9月に党総裁任期満了を迎える首相は局面転換を図るため、6月23日の会期末に合わせた衆院解散を模索しているとされるが、「岸田降ろし」の動きが表面化する可能性もある。
自民の茂木敏充幹事長は28日夜、党本部で記者団に「大変厳しい結果だ。国民の信頼を回復できるよう努めたい」と述べた。立民の泉健太代表は記者団に「自民党の政治改革案が進まないなら(国民に)信を問わなければならない。早期の衆院解散を求めていきたい」と強調した。
島根1区は細田博之前衆院議長(自民)の死去を受けて実施され、立民元職の亀井亜紀子氏(58)が自民新人の錦織功政氏(55)=公明党推薦=との一騎打ちを制した。細田氏は安倍派(清和政策研究会)の会長経験者。島根は全国有数の「保守王国」として知られ、自民は1996年の小選挙区制導入以降で初めて議席を失った。
自民は東京15区と長崎3区で候補擁立を見送り、不戦敗を選択した。
東京15区は公職選挙法違反(買収など)事件で柿沢未途前法務副大臣(自民離党)=有罪確定=が議員辞職したことに伴う。立民新人で元東京都江東区議の酒井菜摘氏(37)が、維新新人の金沢結衣氏(33)=教育無償化を実現する会推薦=、小池百合子都知事が支援した無所属新人の乙武洋匡氏(48)=国民民主党推薦=、無所属新人の須藤元気氏(46)ら8人を下した。
長崎3区は安倍派裏金事件を受けた谷川弥一氏(自民離党)の辞職による。立民前職の山田勝彦氏(44)=社民党推薦=が維新新人の井上翔一朗氏(40)=教育推薦=を破った。
[時事通信社]
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