米、反イスラエル学生デモ拡大=バイデン氏、再選へ影響懸念
【ニューヨーク、ワシントン時事】全米各地の大学で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃を非難するデモが拡大している。ニューヨークの名門コロンビア大から火が付いた抗議活動は25日、首都ワシントンにも波及。イスラエル支援を続けるバイデン大統領にとって、民主党支持の傾向が強い若者の離反は11月の大統領選に打撃となりかねず、対応に苦慮している。
コロンビア大では25日、封鎖した門に警備員が配置され、物々しい雰囲気が覆った。学生らは数十のテントを張って陣取り、大学に対しイスラエル関連企業との資金的つながりを断つことなどを要求。活動を率いる同大3年の男性は「要求が満たされるまで、われわれはどこにも行かない」と強調した。
米メディアによると全米で今週、大学キャンパスを占拠した数百人が拘束された。南カリフォルニア大(ロサンゼルス市)は保安上の理由から卒業式の主要式典を中止。エマーソン大(ボストン市)は授業を取りやめるなど、影響が拡大している。
抗議の一部には反ユダヤ主義的な活動も混じり、大学側は表現の自由と差別助長の阻止との間で、難しい判断を迫られている。
影響は学内にとどまらない。「税金を(ガザへの)空爆費用に回すバイデンが、11月に再選されることはない」。ホワイトハウスから数ブロック西のジョージワシントン大で集会に参加したナダさん(30)は、イスラエル向けの約264億ドル(約4兆1000億円)を含む対外支援法を成立させた政権に抗議。大統領選で「白票を投じる」と語った。
バイデン氏は22日、学生デモについて記者団に問われ「反ユダヤ主義の抗議活動を非難する。同時に、パレスチナ人の状況を理解しない人々も非難する」と双方に配慮を示した。だが、イスラエルへの軍事支援とガザの人道状況改善の両立は非現実的。混乱収束に向けた妙案は見えない。
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