「音速の貴公子」足跡今も=悲劇の事故死から30年―セナのめいがインタビュー・F1
【サンパウロ時事】伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナ(ブラジル)が、レース中の事故で命を落とした悲劇から5月1日で丸30年を迎える。当時34歳だったセナの足跡はレース以外にも残され、今も色あせることはない。セナ氏のめいに当たるビアンカ・セナさん(44)が時事通信のインタビューにオンラインで応じ、「音速の貴公子」とも呼ばれたセナとの思い出などを語った。
セナは1994年、イタリアのイモラで行われたサンマリノ・グランプリ(GP)で、高速走行中にコンクリートの壁に激突して死去した。小さい頃にセナと一緒に水上バイクを楽しんだ記憶が残るというビアンカさんは、当時14歳の少女。「子ども好きな身近な存在の叔父だった。言葉にできない喪失感があった」と胸の内を明かした。
3度達成した年間優勝は、いずれも日本GPで決まった。ビアンカさんは「セナはマクラーレンとチームを組んだホンダや日本人が本当に好きだった」と振り返る。活躍したセナがブラジル国旗を掲げる姿は、長期の軍事政権が終了したばかりで経済的に疲弊していた当時のブラジルの人々にも大きな希望をもたらした。ビアンカさんは「困難な状況でも打ち勝てることを示す象徴的存在だった」と述べた。
3年前に、セナの名前をブランドとして活用するために一族で会社を創設。ビアンカさんが最高経営責任者(CEO)を務め、靴や時計などのメーカーと商品を共同開発した。収益の一部は、セナの遺志を継いで恵まれない子どもらへの教育を支援する財団の運営に使われる。財団が支援した子どもは3600万人を超える。
年内には、動画配信サービスのネットフリックスを通じて、セナの生涯を描いたフィクションドラマが配信される予定だ。ビアンカさんは「30年たってもセナには人を突き動かす力があり、非常に興味深い」と結んだ。
[時事通信社]
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