2024-04-24 17:06政治

744市町村、消滅の可能性=全国の4割、50年に若年女性半減―「少子化基調変わらず」・有識者会議

若年女性が半減する市区町村の割合が高い都道府県
若年女性が半減する市区町村の割合が高い都道府県

 民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」(議長・三村明夫日本製鉄名誉会長)は24日、全体の4割に当たる全国744市町村で2020年から50年にかけて若年女性人口が半減し、将来消滅する可能性があるとの報告書を公表した。14年に日本創成会議が公表した分析では896市区町村だった。今回は外国人人口の増加などが見込まれるが、「少子化基調は全く変わっていない」と指摘した。
 人口戦略会議は、国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月に公表した50年までの地域別将来推計人口に基づき分析。全国1729市区町村について、子どもを産む中心的な年齢層である20~39歳の女性人口の増減に着目した。14年の日本創成会議の分析とは対象や時期などが一部異なる。
 このうち減少率が50%以上の744市町村を「消滅可能性自治体」と位置付けた。地域ブロック別では、東北が165で最多。九州・沖縄が76で最も少なかった。該当する市区町村の割合が50%を超える都道府県は、14年の24道県から16道県に減少。「消滅可能性」を脱した自治体は239で、新たに該当した自治体は99だった。
 今回は、50年の減少率が20%未満にとどまり、100年後も若年女性が現在の5割近く残っている自治体を新たに「自立持続可能性自治体」と定義。若年層の雇用や子育て環境が整った65市町村が該当するとした。
 出生率が低く、他地域からの人口流入に依存している25市区町村を「ブラックホール型自治体」に分類。東京都内の16区などの都市部が当てはまった。
 人口戦略会議の副議長を務める増田寛也元総務相を中心メンバーとした「日本創成会議」は14年、896市区町村を「消滅可能性都市」とする推計を公表。これを機に、国や自治体は地方創生の取り組みを本格化させた。
 しかし、今回の報告書は、移住の促進など人口流出の是正に対策の重点が置かれた結果、近隣自治体間で若年人口の奪い合いになっていると主張。「日本全体の人口減少の基調を変える効果は乏しい」として、出生率の向上に結び付く対策を充実させるべきだと提言した。 
 
 ◇報告書ポイント
 一、744市町村が2020~50年の間に若年女性が半数以下となり、消滅する可能性がある
 一、消滅可能性のある自治体数は14年の896市区町村と比べ「若干改善」
 一、若年女性人口を維持できる「自立持続可能性自治体」は65市町村
 一、少子化基調は変わっていない
 
 ◇若年女性の減少率ワースト15自治体
  自治体名     減少率
(1)南牧村(群馬県)  88.0%
(2)外ケ浜町(青森県) 87.5%
(3)歌志内市(北海道) 86.7%
(4)今別町(青森県)  86.0%
(5)笠置町(京都府)  85.7%
(5)黒滝村(奈良県)  85.7%
(7)佐井村(青森県)  85.2%
(8)吉野町(奈良県)  84.9%
(9)南伊勢町(三重県) 83.5%
(10)御杖村(奈良県)  83.3%
(11)松前町(北海道)  82.8%
(11)木古内町(北海道) 82.8%
(13)下市町(奈良県)  82.2%
(14)上砂川町(北海道) 82.1%
(15)野迫川村(奈良県) 81.8%
※減少率は2020~50年の値
 
 ◇「自立持続可能性」65自治体
【宮城県】大衡村
【茨城県】つくばみらい市
【群馬県】吉岡町
【埼玉県】滑川町
【千葉県】流山市、印西市
【東京都】八丈町
【神奈川県】葉山町、開成町
【石川県】川北町
【山梨県】忍野村
【長野県】原村、南箕輪村
【岐阜県】美濃加茂市
【静岡県】長泉町
【愛知県】大府市、日進市、東郷町、飛島村、阿久比町、幸田町
【三重県】朝日町
【滋賀県】守山市、栗東市
【京都府】木津川市、大山崎町
【大阪府】島本町
【奈良県】葛城市
【鳥取県】日吉津村
【岡山県】早島町
【広島県】府中町
【福岡県】太宰府市、福津市、那珂川市、志免町、須恵町、新宮町、久山町、粕屋町、苅田町
【熊本県】合志市、大津町、菊陽町、南阿蘇村、御船町、嘉島町、益城町
【鹿児島県】宇検村
【沖縄県】宜野湾市、浦添市、豊見城市、うるま市、南城市、宜野座村、金武町、読谷村、嘉手納町、北谷町、北中城村、中城村、与那原町、南風原町、八重瀬町、多良間村、竹富町

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