窒素固定する細胞小器官発見=「ニトロプラスト」と命名―海の藻類から・米大と高知大
大気中の窒素を栄養源のアンモニアとして固定する細菌が、海に生息する単細胞の藻類に取り込まれ、細胞小器官に変わっていることを発見したと、米カリフォルニア大サンタクルーズ校や高知大などの研究チームが16日までに米科学誌サイエンスに発表した。この小器官は「ニトロプラスト」と名付けられた。
動植物の細胞で酸素を使ってエネルギーとなるアデノシン三リン酸(ATP)を生み出すミトコンドリアや、植物の細胞で二酸化炭素を使って光合成を行う葉緑体は、大昔には単独の細菌だったと考えられている。これらが小器官に変わったのは数十億年前だが、ニトロプラストの場合は比較的新しく、約1億年前と推定される。
ニトロプラストに変わった細菌「UCYN―A」は、光合成を行うシアノバクテリアと呼ばれる原核生物。これまでは単細胞で光合成を行う真核生物「ハプト藻」の一種に独立性を維持したまま共生していると考えられてきた。
しかし、研究チームはUCYN―Aが光合成や代謝を担う重要な遺伝子を失い、必要なたんぱく質をハプト藻から受け取っていることを解明。さらに、ハプト藻が分裂増殖する際、UCYN―Aも一緒に分裂して次世代に受け継がれることを軟X線による3次元構造解析で明らかにした。
農作物では、大豆などのマメ科植物は窒素を固定する根粒菌と共生しているが、大半の作物の生産に窒素肥料が使われる。ニトロプラストの発見により、実現可能性は未知数だが、農作物の細胞に組み込む研究開発が考えられるという。
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