「教訓風化させず」=犠牲276人の冥福祈る―熊本地震8年で追悼式
2度の震度7を観測した熊本地震の前震から8年となった14日、熊本県庁に隣接する防災センター(熊本市中央区)で犠牲者の追悼式が開かれた。遺族ら約30人が参列し、亡くなった276人の冥福を祈った。
冒頭、参列者全員が1分間黙とう。蒲島郁夫知事が「大きな犠牲の上にある教訓を風化させず、安心して幸せに暮らせる熊本を築く」と誓って献花し、遺族らが続いた。
追悼式はこれまで県庁で開かれていたが、2023年に完成した防災センターに祈念碑が置かれ、場所を移した。遺族代表による追悼の言葉は遺族の負担などを考慮し、取りやめになった。
災害関連死を含め45人が亡くなった益城町では、復興支援施設「にじいろ」で追悼行事が開かれた。住民やボランティアら約50人が集まり、「あの日を忘れない」などと書かれた手作りの竹灯籠約440個に火をともして犠牲者をしのんだ。地震発生時刻の午後9時26分には明かりを前に黙とうがささげられた。
主婦修理アサ子さん(77)は地震で自宅が全壊した。追悼行事には毎年参加しており、「最初はメッセージを書くこともつらかったが、だいぶ気持ちが楽になった」と話した。被災当時、中学1年だった大学生松山拓実さん(20)は「もう8年たったのか。長かったようで短かった」と振り返った。
熊本地震は16年4月14日夜に前震、同16日未明に本震が起き、同じ地域の連続した地震活動で初めて震度7を2回記録した。大分・熊本両県の犠牲者計276人のうち、災害関連死は計221人。熊本県の仮設住宅入居者は23年3月までに全員退去し、今月5日に最後の復旧・復興本部会議を終えた。
[時事通信社]
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