見えぬ「目玉」パビリオン=空飛ぶクルマに不透明感も―大阪万博
開幕まで1年となった2025年大阪・関西万博では、「未来社会の実験場」をコンセプトに各国が先端技術や文化をアピールする。しかし、パビリオンの具体的な内容は明らかにされていない。会場への移動手段として期待された「空飛ぶクルマ」も運航の実現に不透明感が漂う。こうした「目玉」となる情報の不足が機運醸成に影を落としているとの見方も出ている。
万博のパビリオンを出展するのは、参加国・地域や民間企業、日本国際博覧会協会(万博協会)が選んだ著名人ら。特に「万博の華」と注目されるのが、多様な国の空気を体感できる海外パビリオンだ。1970年の大阪万博では、「アメリカ館」がアポロ12号の持ち帰った月の石を展示。当時、一目見ようと長蛇の列ができた。
今回は約50カ国が建物の整備を自前で行う「タイプA」を計画するものの、具体的な展示物はまだほとんど公表されていない。米国は「共に創出できることを想像しよう」をテーマに、宇宙探査などを疑似体験できる展示を予定するが、詳細は今後発表する。今年2月に起工式を行った中国も、古代の書物「竹簡」をイメージした建物を整備するといった情報のみだ。
万博協会幹部は各国の見どころについて「パビリオンごとの予約が始まる今秋に発表する国が多い。こちらから『何が目玉だ』と決めるものではない」としつつ、「少しずつでも中身を公表していけるように各国と調整したい」と語る。
会場と周辺地域を結ぶ「空飛ぶクルマ」の運航も、未来社会をイメージさせる目玉の一つだ。万博協会は、ANAホールディングス(HD)や日本航空など4グループを運航事業者に選び、国内初の客を乗せた商用運航を目指してきた。
しかし、事業者の一つだった丸紅は機体の開発状況を考慮し、客を乗せない「デモ飛行」にとどめることに。残る3事業者は商用運航を視野に入れるが、具体的な方針はいまだに定まっていない。別の協会幹部は「実際に乗れる人は少ない」と準備不足を認めた。
[時事通信社]
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