トヨタ、ダイハツ再建急ぐ=再発防止優先、販売に逆風
トヨタ自動車は、認証試験を巡る不正で信頼を失った完全子会社、ダイハツ工業の立て直しを急ぐ。信頼回復に向けた再発防止策の徹底が最優先で、グループの販売には逆風が続く可能性がある。トヨタがダイハツに送り込んだ井上雅宏社長ら新経営陣には、厳しい船出となる。
「シェアナンバーワンを取り返すと言える状況ではなく、お客さまの安心にまい進していく」。井上氏は新たな事業方針を発表した8日の記者会見で、販売より再発防止を優先する考えを強調した。
2023年度の軽自動車販売(速報)で、ダイハツは前年度比21.6%減の44万3694台に失速し、軽シェア首位の座を18年ぶりにスズキに譲った。23年4~12月期は首位を走っており、23年12月に認証不正を公表し全車種の出荷停止に一時追い込まれた影響が出た。
トヨタグループでは、日野自動車、豊田自動織機でも不正問題が起きた。グループ全体の企業統治が問われる中、トヨタはダイハツの吸収合併も視野に再建策を練ったが、最終的に独立した会社として維持する結論を下した。軽を開発・生産するノウハウがトヨタにはないためだ。
トヨタの中嶋裕樹副社長は小型車戦略について、「ダイハツが認証不正の再発を防止し、安心のお墨付きを頂くことが第一。その上で、それぞれの強みを生かした事業戦略を考えていく」と記者団に語った。
ダイハツ、日野を含むトヨタグループ全体の23年の世界販売は1123万台と過去最高を更新し、4年連続で首位を維持した。このうちダイハツは79万台を占めていたが、再発防止を優先するため「商品計画に影響が出る可能性はある」(ダイハツ幹部)という。日本を代表する企業グループが高成長を維持できるかは不透明だ。
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