破壊された生活、募る憎悪=日に缶詰一つ、体重激減―ガザ住民
【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘開始から半年。空爆や砲撃に巻き込まれる恐怖にさいなまれ、細る食料に絶望感が募る。暮らしを破壊された憎しみは、イスラエルとハマスの双方に向けられている。ガザ住民が時事通信の電話取材に語った。
「あすも生きているのだろうか」。ガザ最南部ラファの住民イマド・ユーセフさん(29)は「死」が脳裏から離れない。
妻と3人の子供は隣国エジプトに退避した。家族の安全は確保できたが、再会は見通せない。「もう二度と会えないのではないか」。今後の人生も楽観できず、暗い考えが頭を占めるようになった。
ガザでは食料不足が叫ばれ、状況は刻一刻と悪化している。ラファに住むゼイン・タハさん(26)は、1日に豆の缶詰一つにありつくのがやっと。70キロあった体重は40キロまで減った。
北部の食料事情はさらに深刻だ。「支援物資はほとんどない」とジャバリヤに住む主婦イマン・ムスタファさん(40)。早朝から配給の列に並んでも何も得られず一日が終わることもある。「パレスチナの占領者」だったイスラエルに対するこれまでの見方は「大量虐殺者」に変わり、憎悪が深まる。
一方、ガザ住民の対ハマス感情も変わった。ハマス支持者だったユーセフさんだが、ハマスはイスラエル奇襲の対価と損害を「より考慮すべきだった」と憤る。タハさんも「イスラエルは敵だ」としつつ、「私たちの生活や未来を壊した責任はハマスにある」と断言。犠牲を生み続けるイスラエルとハマス双方に対する怒りを口にした。
[時事通信社]
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