揺らぐイスラエル支持=バイデン米政権にいら立ち―「政策変更」示唆で圧力
【ワシントン時事】バイデン米政権は、パレスチナ自治区ガザの人道状況が一向に改善しない事態にいら立ちを募らせている。バイデン大統領は「政策変更」も示唆し、ガザ攻撃を続けるイスラエルへの圧力を強化。昨年10月のイスラム組織ハマスとの衝突以降、イスラエル支持を掲げ、軍事・外交面で支援してきたが、その姿勢には変化が目立ち始めた。
バイデン氏の「怒り」は、1日のイスラエル軍の攻撃で国際NGO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の職員7人が死亡したことがきっかけだ。ガザで支援物資を運搬中、WCKの車両がイスラエル軍に「誤爆」された。
イスラエル軍のガザ攻撃で犠牲となった人道支援従事者は200人近くに上る。だが、死亡した7人の中に米国とカナダの二重国籍者や英国人、オーストラリア人らがいたことが欧米社会に衝撃を与えた。
バイデン氏は4日、イスラエルのネタニヤフ首相との電話会談で民間人の保護や支援従事者の安全確保の具体策を公表し、実行するよう要求。「米国の政策はイスラエルの行動に対する評価で決まる」と述べ、兵器供与など軍事支援の見直しを示唆した。
出口が見えないイスラエルとハマスの戦闘が7日で半年を迎える中、米側ではネタニヤフ政権への不満が渦巻く。3月には、民主党上院トップのシューマー院内総務が議会演説で、ネタニヤフ氏が「和平の障害」になっていると非難。バイデン氏は「良い演説だった」と称賛した。
国連安保理は3月下旬、「ラマダン(断食月)期間中の即時停戦」を求める決議を賛成多数で採択した。棄権に回った米国に対し、イスラエルは強く反発。溝の深さが明らかとなった。
背景には民意の変化もある。米調査会社ギャラップが3月に公表した世論調査によると、イスラエルの軍事行動への支持は、昨年11月に50%だったのが今年3月には36%に下落。反対は10ポイント上昇して55%に上った。バイデン氏を支える民主党の支持層に限れば、支持は18%にとどまり、反対は75%に達する。
11月に米大統領選を控えるバイデン氏にとって、こうした世論は無視できない。ブリンケン国務長官は5日、訪問先のブリュッセルで記者団に、ガザの人道状況改善に向けたイスラエルの行動について「結果を注視している」と強調した。
[時事通信社]
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