2024-04-04 20:40政治

実態解明なき幕引き優先=自民裏金事件

 岸田文雄首相(自民党総裁)が派閥裏金事件で実態解明よりも関係議員の処分を急いだのは、政権の危機的状況を踏まえ「幕引き」を優先したためだ。安倍派のキックバック(還流)はいつ、誰の意向で、なぜ始まり、継続を決めたのは誰なのか。国民の疑問に一切答えておらず、「政治の信頼回復」には程遠い。
 安倍派は会長だった安倍晋三元首相が還流廃止を指示した後、塩谷立・元総務会長や世耕弘成前参院幹事長ら幹部4人の協議を経て覆された。4人は衆参両院の政治倫理審査会で弁明したものの、いずれも関与を否定。首相自らが異例の追加聴取に乗り出したが、その内容は明らかにしていない。
 還流開始と継続の真相を知り得る森喜朗元首相からの聴取も焦点だった。首相は4日になって「今般、直接電話をかけた」と明かし「具体的な関与は確認できていない」と語った。説明責任を尽くそうとする姿勢は最後まで見えなかった。
 首相は1日の参院決算委員会で「事実の解明は大事だが、派閥幹部の政治責任も判断しなければならない」と述べた。処分を決めた後も、真相究明に全力を挙げる必要がある。自身の政治責任を果たして初めて信頼回復のスタートラインに立つことができる。 
[時事通信社]

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