東海や北陸など7地域下方修正=景気判断、認証不正や地震影響―日銀リポート
日銀は4日、春の支店長会議を開き、全国を9地域に分けて景気動向を分析した地域経済報告(さくらリポート)をまとめた。景気判断は、東海や北陸など7地域を下方修正した。一部自動車メーカーの出荷停止や暖冬による季節家電の販売低調が影響したほか、北陸では能登半島地震の影響で「個人消費や生産の一部に下押しがみられている」と指摘した。北海道と四国は据え置いた。
ダイハツ工業や豊田自動織機の認証不正問題による自動車の生産・出荷停止の影響で、近畿や東海、中国など6地域で生産の判断を下方修正。自動車販売の減少などから、個人消費の判断も東北や関東甲信越など5地域で引き下げた。
日銀は「一時的な要因による下押し」とみており、全体として景気は持ち直しの基調を維持していると分析している。記者会見で広島鉄也名古屋支店長は「問題のあった事象の解消に連れて生産水準が回復しつつある」と発言。中島健至大阪支店長も「徐々にマイナス要素はマイナス幅を縮めていく」とそれぞれ前向きな見方を示した。
日銀が金融政策の正常化に向けて重視する中小企業を含む賃上げの動向については、各支店から「地域の中小企業でも、昨年並みあるいはそれ以上の賃上げの動きが広がることが期待できる情勢にある」と報告された。
日銀は「賃金の転嫁を実施・検討する声が着実に増えてきている」と指摘。「業績は厳しいが、成長・生き残りのため人材確保は必須」(大阪・電気機械)、「業績回復を踏まえて前年を上回る賃上げを実施する」(松本・輸送用機械)といった声が聞かれたという。
地震による下押しが指摘された北陸は「復旧復興需要や生産正常化が進む下で、持ち直しの動きがみられている」との認識も示した。
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