「被災者目線の復興方針を」=避難生活終了のめど必要―片山元鳥取知事・能登地震
最大震度7を観測した能登半島地震について、2000年の鳥取県西部地震に知事として対応した大正大学の片山善博特任教授(地方自治論)が時事通信の取材に応じ、「今後どうしていくかという、被災者目線の復興方針を早く示すべきだ」と語った。
石川県は、3月28日に「創造的復興プラン」(仮称)の骨子案を発表した。9年計画で、教訓を生かした災害に強い地域づくりやなりわいの再建などを柱に据えた。
片山氏は「今回の計画は公共事業のあり方などの県政計画。今困っている人たちをどう元気づけるかが視野にない」と指摘。「一番大事なのはめどを付けること。今まで住んでいた場所に戻れるのかどうかを示さなければならない」と語った。
県の災害対応について「初動や準備でやるべきことがあった。知識や技術、人材を蓄えておくべきだった」と分析。鳥取県西部地震では発生翌日に被災地を視察し、被災者の声を聞いて回った経験から「現場を見ることが大事。状況も分からないまま体制づくりをするのは困難だ」と述べた。
石川県の防災計画には地震後に目を通したといい「(県幹部らが)何をしたらいいかが読み取れない」と批判した。ボランティアに関する記載については「災害時に対応していない」とし、県による受け入れの一時制限についても「押し掛けて来ても必要なところにマッチングするのが行政の仕事のはずだ」と苦言を呈した。
政府が行った被災自治体の要請を待たずに物資を緊急輸送する「プッシュ型支援」に関しては、「ニーズが分からなくては人も物も持て余してしまう」と指摘。ニーズに応じて支援する「プル型支援」の有効性を訴えた。
一方、家屋の危険度判定を写真などを基に遠隔で行ったり、避難者の情報管理をデジタル化したりしたことに関しては、「今回の地震で出てきた先駆的な取り組み。結果を検証し、精度を高めれば次の災害にも生かせるだろう」と評価した。
[時事通信社]
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