2024-03-30 05:40社会

地域の中心、神社再建へ=ネットで募金「力貸して」―石川県珠洲市

地震と津波で倒壊した鳥居について説明する須須神社の猿女豊信さん=15日、石川県珠洲市
地震と津波で倒壊した鳥居について説明する須須神社の猿女豊信さん=15日、石川県珠洲市

 能登半島地震で鳥居が倒壊するなどの被害が出た須須神社(石川県珠洲市)では、再建費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。住民らに安全に参拝してもらうのが狙いで、担当者は「地域と神社の将来を守るため力を貸してほしい」と訴えている。
 須須神社は能登半島最北端の神社で、約2100年前に創建された。禰宜(ねぎ)の猿女豊信さん(56)によると、同神社は昨年5月に能登地方で起きた最大震度6強の地震で一部の鳥居が倒壊。修理のため地域の氏子に寄付をお願いしていたが、今年元日の地震による揺れや津波で別の鳥居も倒壊し、手水(ちょうず)舎も壊れた。
 「大きな被害が出た地域の住民に寄付はもうお願いできない」。そう考えた猿女さんは3月1日からCFを開始した。倒壊部分をすべて直すには計1億円ほどかかるが、まずは鳥居の補修費など500万円を目標に設定。寄付額は同月末時点で、300万円を超えて約6割に届いた。
 同月15日には参拝者らが弓矢で的を射る春季例祭があり、10人ほどが参加した。例年の約5分の1だが、避難先から来た人もおり、住民からは「神社はやはり地域の中心だ」との声が出た。
 猿女さんは「氏子には高齢者が多く、地震により珠洲市を出る人もいる。人数は3分の1以下に減るかもしれないが、それでも神社は地域コミュニティーの中心だ」と強調。「住民は祭りを楽しみにしている。地域と神社を守るために力が借りられれば」と話している。 
[時事通信社]

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