毎日新聞の西山太吉氏以外から公電入手か=横路元衆院議長が示唆―証言録公開
衆院は29日、横路孝弘元衆院議長=昨年2月死去=から聞き取った証言記録を公開した。1971年の沖縄返還協定に絡む日米「密約」に関し、外務省の機密公電を基に国会で追及した経緯を説明。公電の入手先について、密約の存在を報じた元毎日新聞記者の西山太吉氏=昨年2月死去=ではなかったことを示唆した。
横路氏が72年3月に行った国会質問は、西山氏が国家公務員法違反容疑(秘密漏えいの唆し)で逮捕された「西山事件」の発端となった。
証言録によると、横路氏が西山氏と会ったのは71年12月以前の1回のみ。この時に西山氏から密約の詳細を知らされたと聞き取りに対して明かしたが、「根拠が何にあるのか分からなかった」と振り返った。
横路氏が公電を入手した時期について、「(72年3月の)質問直前だったと思うが、(入手先から)電話がかかってきて、『これ使っていいよ』と言われてぽっと渡された」と説明。誰から受け取ったかについては「ノーコメント」と明言を避けつつ、「よく知っている友達だ」と答えた。
その上で「あまりに事実に反する(政府側の)答弁だったので、明らかにしたいということがあったと思う」と公電を渡した人の思いを推測した。
密約に関する政府の対応には「国会で堂々とうそをついたことが問題だ。この体質は今も続いている」と指摘。西山事件については「記者が取材に当たって逮捕されることは全く考えもしなかった」とし、「検察側の起訴状は全く下品で読むに堪えない」と批判した。
衆院事務局は赤坂幸一九州大大学院教授(憲法)らの協力を得て、2020年2月から22年11月に計28回聞き取りを実施。今回の公開は河野洋平元議長に続く第2弾で、衆院ホームページ上で閲覧できる。
[時事通信社]
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