ガソリン補助、見えぬ出口=原油高止まりが誤算、財政圧迫
政府は、4月末を期限としていたガソリン補助金制度を一定期間延長する方針だ。円安進行や長期化するロシアのウクライナ侵攻、中東地域での紛争などで、原油の輸入価格が高止まりしていることが誤算となった。異例の措置の出口は見通せず、巨額支援が財政を一段と圧迫する。
補助金は2022年1月に開始。制度の拡充や縮小が繰り返され、今回で7回目の延長となる。現行制度では、レギュラーガソリン1リットル当たりの小売価格を175円程度にするため、約9~37円分を抑制してきた。
政府は、日銀のマイナス金利政策解除で円高に振れ、ガソリン価格が下がると想定。「一定程度の負担増は受け入れてもらうしかない」(政府関係者)として、補助金縮小を模索していた。
しかし、円相場は1ドル=151円台後半と歴史的な円安水準で推移。ウクライナ侵攻や、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘長期化など不透明要因が多く、判断を先送りした。
経済産業省によると、補助金を10円支給すると月1000億円が必要で、これまでに積み上げた予算規模は総額6兆4000億円に上った。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、中高所得者ほどガソリンを消費する傾向があるほか、都市部では自動車を持たない人も多く「平等性に課題がある」と指摘。脱炭素化にも逆行するため、「電気自動車購入など産業競争力強化につながる施策に予算を充てるべきだ」と話している。
[時事通信社]
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