事態混乱、疑問残る決着=元白鵬の処遇、二重基準の印象も―大相撲
元横綱白鵬が師匠の立場を外れた宮城野部屋の処遇についての決着は、釈然としない面も否めない。相撲協会の広報部長の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は厳しい措置に「制裁を加えているわけではない。重いとか軽いとかではない」と説明。再興の可能性は残すが、時期は見通せない。
元白鵬の責任は重い。師匠として北青鵬の度重なる暴力行為を把握していながら、相撲協会への報告義務を怠るなどして懲戒処分を受けた。将来を嘱望された弟子は自らの愚行で引退に。事の重大さを認識していなかった。「師匠失格」の烙印(らくいん)を押されるのは当然の流れだろう。
ただ、今回の宮城野部屋への相撲協会の対応は過去の不祥事の例を踏まえると、曖昧と言わざるを得ない。2007年に時津風部屋で力士が暴行死。10年には阿武松部屋の力士らが野球賭博に関与したとして解雇されたが、共に部屋は存続した。
木瀬親方(元幕内肥後ノ海)は暴力団との関係を取り沙汰され、一時的に部屋を閉鎖されたことがあるものの、宮城野部屋の処遇については二重基準の印象も。親方衆からは「どういった問題なら、コンプライアンス委員会の調査、処分対象になるのか、それが分からない」との声も聞こえる。
当初、伊勢ケ浜一門は宮城野親方と力士をそれぞれ別の部屋に転籍させる案を提出したが、協会側が同じ部屋でなければ認めないとの方針を示したことで協議は難航。関係者によると、協会側は、理事となる元大関魁皇が師匠の浅香山部屋で受け入れるように求めた。
浅香山部屋の所属力士は春場所番付では幕下以下の9人と少なく、同部屋の広さなどを考えれば、一挙の転籍への対応は難しい。「稽古場にゴザを敷いて力士を寝かせてもいいのか」と語った関係者も。現実的な解決策にはほど遠く、協会が力士を最優先で考えたかについては疑問が残る。
転籍先は伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が師匠の部屋に決まった。春場所で110年ぶりとなる新入幕優勝を飾った尊富士らを育成した手腕に定評がある。移る十両伯桜鵬ら宮城野部屋の力士は大化けする可能性を秘めている。伊勢ケ浜部屋への一括転籍がベストだったかは別として、救いを見いだすならそこだろう。
[時事通信社]
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